通知音が鳴るたび、心臓が跳ねていたあの頃
既読はついてる。返事は来ない。
ロック画面を消して、三分後にまた点ける。誰からも来てない。
その繰り返しを夜中まで続けた経験、ありませんか。
私はあります。二十三の冬、暖房の効いてない部屋で毛布にくるまりながら、指先だけ冷たくなっていくのを感じていた。
もう寝よう。寝れば朝には来てるかも
そう言い聞かせて枕元にスマホを伏せて、五分後にまたひっくり返す。ダサい。でも本当のこと。
おまじないを検索したのは、その夜が初めてでした。
検索窓に打ち込む時の、あの後ろめたさ
おまじないなんて信じてない。
そう思いながら検索してる自分がいる。この矛盾、けっこう多くの人が抱えてます。
科学的に効くわけないってわかってる。
それでも打ち込むのは、何かしていないと不安に押しつぶされそうだから。
つまり探してるのは魔法じゃなくて、待つ時間を耐えるための道具なんですよね。
ここを認めてしまうと、おまじないは急に使いやすくなります。
効くとされる定番のおまじない
昔から言い伝えられてきたものを、やりやすい順に並べてみます。
どれも道具はほぼ要らない。深夜に思い立ってできるものばかり。
スマホを使う手軽なもの
まずは待ち受け画面。
好きな人の名前を書いた紙を撮影して、それを待ち受けにする。誰にも見られない設定にするのが条件。
次に、連絡先の登録名。相手の名前の後ろにハートや星を一つ足す。開くたびに意識が向くので、自然と自分の行動が変わっていきます。
それから、寝る前にトーク画面を開いて、送らないまま名前を三回呼ぶというもの。声に出さなくてもいい。
私はこれを一週間続けたことがある。三日目の夜、実際に通知が来た。
飛び起きて指が滑って、間違えて動画を再生してしまい、静かな部屋に音楽が大音量で鳴り響いた。慌てて音量ボタンを連打しながら、心臓がバクバクしてた(笑)
内容はどうでもいい業務連絡みたいなやつだったけど、あの瞬間の跳ね上がり方は今でも覚えてます。
紙とペンでやるもの
ピンク色の紙に、相手のフルネームと自分のフルネームを並べて書く。その周りをハートで囲んで、財布に入れて持ち歩く。
新月の夜に願い事を紙に書くという方法も有名です。新月から四十八時間以内、十個まで、現在形で書く。連絡が来ますようにではなく、連絡が来て嬉しい、と書くのがポイントとされてます。
書いた紙は誰にも見せない。これは全部のおまじないに共通する条件みたい。
理由を私なりに考えると、人に言った瞬間に、うまくいかなかった時の言い訳が生まれるからじゃないかな。
日常のものを使うもの
四つ葉のクローバーを探して押し花にして、スマホケースに挟む。
朝いちばんに飲む水をコップに注いで、ひとくち飲む前に名前を思い浮かべる。
青いペンで自分の手のひらに小さく相手のイニシャルを書いて、寝る前に消す。
どれも共通してるのは、毎日決まった時間に、決まった動作をするという点。
儀式って、そういうものなんですよね。
なぜおまじないで連絡が来るのか
ここが一番大事なところ。
オカルトの話をしたいわけじゃなくて、実際に何が起きているのかを整理しておきたい。
手が止まると、余計な送信が減る
連絡が来ない時、私たちは何をしてしまうか。
どうでもいい話題を無理やり作って送る。スタンプだけ送る。既読つけたまま放置してみる。
そのどれもが、たいてい逆効果。
おまじないをやっている間は、その空回りの時間が儀式に置き換わります。
紙に名前を書く三分間は、いらないメッセージを打たない三分間でもある。
これ、地味だけどものすごく効いてる。
表情と声が勝手に変わる
うまくいくと信じてる人の顔つきは、待ってばかりの人と全然違います。
おまじないをやった翌朝、なんとなく気分が軽い。すれ違った時に自然に笑える。
その一回の笑顔が、相手の中に思い出す隙間を作る。
連絡が来る理由って、たいていそういう小さいところにあるんです。
私の友達で、毎朝コップの水を飲む前に願うおまじないを続けてた子がいます。
半年後に付き合いました。
本人いわく、おまじないのおかげじゃなくて、あれをやってから朝の準備を丁寧にするようになったのが大きいって。髪も服も気を抜かなくなった、と。
なるほどなあ、と唸った。
信じられる自分になれる
自信がない状態で送るメッセージは、文面ににじみます。
すみません急に、とか、忙しかったですよね、とか。謝る言葉が増える。
逆に、根拠がなくても大丈夫だと思えている時のメッセージは、素直で短い。
その差が返信率を分けてる。
おまじないは、その根拠のなさを補ってくれる杖みたいなものです。
やってはいけないおまじないの使い方
ここからは、私が実際に転んだ話も含めて。
結果を求めすぎて、逆に病んだ話
二十四の春。新月の夜にきっちり十個書いて、財布にも紙を入れて、待ち受けも変えた。
準備は完璧。あとは待つだけ。
三日経っても来ない。
四日目、私は何をしたか。おまじないのやり方を間違えたんじゃないかと検索し直したんです。
書く紙の色が違った、ペンの色が違った、時間帯がずれてた。次々に原因を見つけて、また最初からやり直す。
気づいたら、彼のことより、おまじないの正しさばかり調べてた。
夜中の二時、スマホの光で顔だけ白く照らされてる自分に気づいて、(あ、これはまずい)と思った。
翌朝ばっさり全部やめました。
おまじないは、待つ時間を柔らかくするためのもの。監視するためのものじゃない。
やっている自分がしんどくなったら、それはもう外していい合図です。
相手を縛るタイプのものは避ける
検索していると、たまに強い言葉のものが出てきます。
相手が自分以外を見られなくなる、忘れられなくなる、みたいな系統。
気持ちはわかるけど、これはやめたほうがいい。
理由は単純で、そういうものをやっている自分の心が荒れるから。
支配したい気持ちが強まると、実際の会話でも独占欲がにじみます。返信の速さを気にしたり、誰といたか探ったり。
相手はそれを敏感に感じ取る。結果、離れていく。
願うなら、こちらが気持ちよく過ごせる方向へ。
おまじないだけで待ち続けない
一番よくないのは、行動をおまじないに丸投げしてしまうこと。
連絡が来ますようにと祈りながら、自分からは絶対に送らない。この状態が一番長引きます。
おまじないは、送るための背中押しに使ってこそ。
やった、じゃあ今日は自分から一言だけ送ってみよう。この流れが理想です。
おまじないと一緒にやると効く現実的なこと
祈るだけで終わらせないための、地に足のついた話。
連絡したくなる隙を作っておく
相手から連絡が来る人には共通点があります。
返しやすい何かを、相手の中に残してるんです。
たとえば、前に話した映画の続き。貸したままの本。行きたいと言っていた店。
そういう未完了のものがあると、相手はふとした瞬間に思い出す。
私はこれを保留の種と呼んでます。
完璧に終わった会話からは、次が生まれない。少しだけ宙ぶらりんにして終えるのがコツ。
SNSは静かに、でも動かす
ストーリーやステータスメッセージは、意外と見られてます。
悲しいアピールや意味深なものは逆効果。心配される前に、面倒だと思われる。
効くのは、楽しそうにしている痕跡。
カフェの写真でも、読んでる本でも、猫でもいい。
この人、私が連絡しなくても元気そうだな。そう思われた時に、なぜか連絡が来ます。人の心って本当にへそ曲がり。
来ない日を過ごす技術
どうしても来ない日はあります。
そういう日は、スマホの通知をオフにして別の部屋に置く。これが一番効く。
私は湯船に長く浸かるようにしてました。四十分くらい。
上がった頃には夜が終わってて、確認する気力もなくなってる。
待たない時間を作れる人が、結果的に長く続く恋をしてる気がします。
実際に連絡が来た時、何を返すか
おまじないが効いた瞬間。ここで失速する人が多いので触れておきます。
喜びすぎない、けど冷たくしない
待ちに待った通知。開いた瞬間、指が勝手に長文を打ち始める。これは危ない。
おすすめは、来た文量と同じくらいで返すこと。
向こうが一行なら、こちらも一行から二行。
そして返信は五分から三十分の間に。即レスすぎると待ってた感が出るし、半日空けると駆け引きに見える。
既読をつけてから返すまでの間に、深呼吸を三回。私はこれで何度も救われました。
次につながる一言を置く
返事の最後に、小さな未来を置いておく。
そういえばあの店、まだ行けてないんだよね。
それ気になるから今度詳しく聞かせて。
この一行があるかないかで、次の連絡が来る確率が変わります。
おまじないで来た一通を、二通目につなげるのは自分の仕事ですよ。