円満に別れるLINEの送り方、揉めない例文と送ったあとの対応

  • URLをコピーしました!

駅ビルのパン屋で、トレーを持ったまま棚の前から動けなくなった。
レジの列の三人ほど先に、一年前に別れた人が並んでいる。
転勤で、福岡へ越していったはずの人。
(どうしよう、棚の陰に隠れる…?)
迷っているうちに、振り向いた彼と目が合った。
彼は片手を軽く上げて、私のトレーのあんパンに目をやった。
それ、ここのいちばんうまいやつ。
知ってる、と返すと、彼は小さく笑って前に向き直った。
東京に戻っていたことすら、私は知らなかった。

別れを告げたのは、私のほう。
それも、LINEで。
一年たって、パン屋の列で冗談をひとつ交わせる。
あの一通を何度も書き直した意味は、たぶんこの数秒にあった。

二十代のはじめには、正反対の別れ方もしている。
深夜の長文と即ブロックで、半年も同じ駅で落ち着いて降りられなくなった別れ。
二つを分けたのは、文章のうまさではなかった。
いつ、何を、どこまで書くか。
それから、送ったあとに何をしないか。

目次

円満に別れるLINEとは、あとに尾を引かない別れのこと

円満、と聞くと、誰も傷つかない別れを思い浮かべがち。
でも、別れ話で傷がゼロになることは、まずない。
私が目指したいのは、揉めごとも貸し借りも残さない終わり方。
次に顔を合わせても、あいさつくらいは交わせる別れ。

傷つけない別れより、揉めない別れを目指す

二十四の春、一年付き合った彼に、夜中の一時過ぎに別れのLINEを送った。
きっかけは、週末の予定をめぐる小さな言い合い。
なのに指は止まらず、一年分の不満まで書き出していた。
遅刻癖、店員さんへの口のきき方、記念日を忘れたこと。
最後に、今までありがとう、と一行だけ足して送信し、その場でブロックした。

翌朝から、共通の友達を通して、どういうこと?が何通も届いた。
三日後の夜、最寄り駅の改札を出ると、柱の横に彼の姿。
(なんで、ここにいるの…!)
喉がひゅっと細くなって、声が出ない。
結局、駅前のベンチで二時間、同じ話を行ったり来たりした。
学生時代からの仲間の集まりにも、その年はどちらも顔を出さずじまい。
半年間、あの駅で降りるたびに、柱の横を確かめてから改札を抜けた。

あの夜の長文は、別れの言葉というより、一年分の苦情の束。
読んだ彼が、反論しに駅まで来たのも無理はない。
欠点を並べる、深夜に送る、返事を待たずにブロックする。
どれも、相手に言い返す理由と、追いかける理由を手渡してしまう。
円満に別れたいなら、傷を減らす工夫より先に、揉める種を置かない工夫がいる。

LINEで伝えていい関係、会って伝えたい関係

付き合って数か月、会ったのが数回なら、LINEで告げても失礼にはならない。
一年を超えた相手や、同棲中の相手は別。
LINEは、話す日を決めるところまでにとどめたい。
例外は、会うと身の危険を感じる相手や、話し合いにならない相手。
その場合は、文字で伝えるほうが自分の身を守りやすい。
遠距離で、会うために相手が飛行機に乗るなら、先に文字で伝える手もある。
わざわざ来てもらって、空港の到着口で別れ話では、帰りの便が長すぎる。
二十八で遠距離の恋を終わらせたときも、私はこの理由でLINEを選んだ。

引き止めてほしくて送るなら、その別れ話はまだ早い

正直言って、二十代前半の私には前科がある。
別れよう、と送って、引き止めてくれる言葉を待っていた夜。
数分後、了解、とだけ返事が来た。
(え、止めないの…!?)
自分で切り出した別れ話に、自分がいちばん慌てていた。
我ながら、面倒な女だった(笑)

相手を試すための別れ話は、試した側に跳ね返ってくる。
別れよう、は、言われた側には交渉の合図ではなく、結論として届く。
送信の前に、その返事ひとつで終わっても平気か、自分に確かめておく。
了解、で本当に終われるなら、準備はできている。

別れのLINEを送る前に整えておくこと

文面を考えるより先に、決めておきたいことが四つある。
書く場所、送る日、送信後の予定、それから誰にいつ話すか。

下書きは宛先のない場所で書いて、一晩寝かせる

別れのLINEを、相手とのトークに直接打ち込むのは危ない。
下書きの途中で指が滑れば、書きかけの別れ話がそのまま届く。
二十八の秋、私は手帳の後ろのページに、三晩かけて下書きをした。
一晩寝かせて読み返すと、夜中には名文に見えた一文が、ただの言い訳だったりする。
はぁ…と天井を仰いだのは、七回目の書き直しあたり。
三晩目の朝、残ったのは最初の半分ほどの長さだった。
削ったのは、わかってほしい、という私の側の事情ばかり。
別れのLINEが長くなるのは、悪者になりたくない自分のため。

送るのは、相手の翌日が休みになる夜

別れのLINEを受け取った人には、眠れない夜と、腫れたまぶたの朝が来る。
翌日に会議や試験を控えた日は避けて、休みの前の夜に送る。
あの時の一時過ぎの送信は、今の私なら金曜の夜八時。
遅すぎる時間だと、相手は誰にも話せないまま、ひとりで朝を待つことになる。
相手の誕生日の前後、仕事の繁忙期、家族と過ごす年末年始も外したい。
記念日の近くに届いた別れは、その日付ごと相手のカレンダーに刺さって残る。

送ったあとの二時間は、スマホの前にいられる日を選ぶ

送ってすぐ眠るのは、言いたいことだけ言って電話を切るのと同じ。
送ってから二時間ほどは、返事をいつでも受け止められるよう、予定を空けておく。
この夜のお酒は、一杯までと決めていた。
酔った勢いの二通目は、時間をかけた一通目を簡単に崩すから。

共通の友達には、本人より先に話さない

二十六の冬、私は別れを告げられる側にいた。
三週間ほど返事が細くなっていた彼から、日曜の夜、突然届いた一通。
一行目には、共通の友達の名前と、あいつとも話したんだけど、の文字。
別れの言葉より先に、その友達の顔が浮かんだ。
(私の知らないところで、もう話がついてたの…?)
その友達とは、それから一年近く、まともに目を合わせられなかった。

別れる前の相談相手は、恋人と接点のない人から選ぶ。
共通の友達に話すのは、本人に伝わったあとで、短く。
文面の中に、第三者の意見を理由として混ぜるのもやめておく。
友達も言ってたけど、の一文は、二人の別れに見物人をつけてしまう。

円満に別れるLINEの書き方と、実際に送った文面

下書きを削っていくうちに、残すものの順番が見えてきた。

一通目の冒頭で、別れ話だとわかるようにする

思い出話から書き始めると、相手は読み進めるほど、落ちる高さが増えていく。
楽しかった日々を三段落読ませたあとの、別れよう、は残酷。
話がある、とだけ送って何時間も待たせるのも、相手の夜を長くするだけ。
一通目の頭に、これが別れの話であることと、文字で伝える理由を一行。

会うと泣いて言葉が出てこない気がするので、ここで伝えさせてください。

文字を選んだ理由は、飾らずに短く。
それだけで、面と向かって言われなかった側のわだかまりも、ずいぶん薄まる。

理由は、相手が直せる欠点ではなく、自分の気持ちの変化で書く

連絡がまめじゃない、休みの日は寝てばかり。
こういう理由を書くと、相手は、直すから、と返してくる。
直せる理由は、別れの理由ではなく、交渉の材料に化ける。
私が書いたのは、会えない日々に慣れていく自分のことだけ。
彼の落ち度は、ひとつも出てこない。
翌日の電話で、彼はこう言った。

それ言われたら、俺が直せる話じゃないもんな。

責める言葉は一度も出ず、電話は三十分で終わった。

感謝は、相手の性格より、一緒に過ごした場面で書く

優しいところが好きでした、は、誰にでも当てはまる。
読む側には、宛先を書き換えただけの手紙みたいに映る。
私が選んだのは、彼の引っ越し前夜のこと。
荷造りの途中の部屋で、ひとつのカップ麺を二人ですすった。
場面で書かれた感謝は、ごまかしがきかない。
その夜を一行入れるだけで、別れの一通が、二年間への礼状に変わる。

男性が引っかかる、別れを濁す決まり文句

やさしく見えて、受け取る側の足もとを揺らす決まり文句が、いくつかある。
距離を置きたい、と言われた男性は、どこまで離れれば戻れるのか考えはじめる。
嫌いになったわけじゃない、を読めば、じゃあなぜ、の迷路の入り口。
これからも友達でいて、は、別れた翌週から相手に友達の顔を演じさせる。
〇〇にはもっといい人がいる、については、電話の彼が低い声で言っていた。

あれ書かれてたら、たぶん腹が立ってた。俺の相手を勝手に決めるなって。

別れの言葉は、やわらかさより、はっきりしているほうが相手の次の一歩を軽くする。

私が実際に送った、別れのLINEの全文

削りに削って、週末の入り口に送ったのが、この一通。

顔を見たら、また先延ばしにしてしまいそうなので、LINEで伝えます。
〇〇とのお付き合いを、終わりにしたいです。
遠距離になって、会えない日が続いても平気な自分に、何度も気づきました。
この半年考え直したけれど、気持ちは戻りませんでした。
福岡に越す前の晩、段ボールの部屋で分けたカップ麺の味は、忘れません。
二年間、本当にありがとう。
言いたいことがあれば、全部聞きます。

送信して、スマホを握ったまま、ソファの上で膝を抱えた。
画面が光ったのは、四十分後。
正直、そうかなって思ってた、の一文に、明日電話で話したい、が続いていた。
テーブルに置こうとしたマグカップが、カタカタと小さく鳴った。
次の日の昼、電話口で先に言葉に詰まったのは、振ったはずの私のほう。
(まさか、私が泣きそうになってる…?)

状況別、円満に別れるLINEの例文

理由が違えば、置く言葉も少しずつ変わる。
どの例文も、場面を書く一行だけは、二人の記憶に差し替えて使う。

将来の考え方が合わないとき

結婚のタイミング、住みたい街、仕事への向き合い方。
話し合っても埋まらない差は、どちらかの我慢で続けるほど、あとで重くなる。

別れたいと思っていて、今日はその話を書きます。
結婚について何度も話して、目指す形が違うとはっきりしました。
〇〇のせいではなく、向かう先が違ったんです。
去年の春、海の見える公園で、将来の話を真剣にしてくれたこと、覚えています。
今まで、本当にお世話になりました。

ほかに好きな人ができたとき

正直に書くかどうか、いちばん迷う場面。
作り話の理由は、共通の知り合いの口から、いつか彼の耳に入る。
ただ、相手の名前やいつから、といった細かいところまでは書かずにおく。

突然でごめんなさい。別れてほしいです。
ほかに気になる人ができて、このまま隣にいるのは不誠実だと気づきました。
〇〇が何かをしたからではなく、私の心が動いたせいです。
水族館の帰りに、手袋を片方貸してくれた夜は、今も大事にしています。

付き合って間もない相手と別れるとき

付き合って三か月ほどなら、長い説明はかえって重い。
短く、はっきり、明るすぎずに。

急な話ですが、恋人としてはここまでにしたいです。
何度か会ううちに、この先へ進む気持ちが育たないとわかりました。
早めに伝えるほうが誠実だと考えて、連絡しています。
〇〇が教えてくれる映画、どれも面白かったです。

束縛や言葉のきつさに疲れたとき

相手の言動が理由でも、文面でそれを並べるのは危ない。
責められたと受け取った相手ほど、返事は長く、強くなる。

お付き合いを、今日で終わりにします。
この関係の中で、自分らしくいられない時間が増えすぎたからです。
これまでのこと、感謝しています。

この場合だけは、思い出の場面を無理に書かなくていい。
会う約束を求められても、安全が確かめられない限り、首を縦に振らない。
怖さを感じる相手なら、送る前に家族や信頼できる人に一報を入れておく。

同棲中や長く付き合った相手には、LINEで話し合いの約束だけ

同棲中の相手に、LINEだけで別れを告げると、その夜の玄関から気まずくなる。
LINEで伝えるのは、話し合いの予告と日時まで。

二人のこれからについて、ちゃんと話したいことがあります。
土曜の午後、時間をもらえますか。

日時まで添えておけば、相手を宙ぶらりんのまま待たせずに済む。
部屋の契約や家具の分け方は、一度の話し合いでは決めきれない。
二回に分けるつもりで臨めば、最初の日に全部を詰め込んで揉めることもない。

職場の相手と別れるとき

職場恋愛の別れは、翌日の朝礼でも顔を合わせる前提で書く。
金曜の夜に送れば、月曜までに、お互い表情を整える時間が取れる。

仕事とは関係のない、二人の話です。
付き合うのは、今週で最後にします。
月曜からは、ただの同僚に戻ります。仕事の相談は、これまでと同じように。

二人の仲を知る同僚がいるなら、聞かれたときの答えを二人でそろえておく。
そうしておけば、噂が勝手にひとり歩きしない。

返事が来てからのやり取りと、揉めそうなときの対応

送信して終わり、とはいかないのが別れのLINE。
返事への返し方ひとつで、円満にも、泥沼にも転ぶ。

最後に返す一文は、送る前に決めておく

返事が長くても短くても、怒っていても泣いていても、締めの一文は同じ。
私は下書きの最後に、その一文だけを離して書いておいた。

最後まで聞いてくれて、ありがとう。〇〇の毎日が、穏やかでありますように。

聞かれたことには答える。
ただ、新しい理由や思い出話は足さない。
答え終えたら、この一文で閉じる。
締めの言葉が先に決まっていると、相手の感情の波に、一緒に呑まれずに済む。
電話を切ったあと、私はこの一文をそのままLINEで送った。

直すから、と引き止められたとき

理由に相手の欠点を書かなくても、直すから、は届くことがある。
その気持ちは受け取りつつ、決めたことは動かさない。

そう言ってくれるのは、ありがたいです。
でも、〇〇が何かを直せば戻る話ではないんです。
気持ちは変わりません。

ここで、少し考えてみる、と書くのは、引き止めを一回分延長するだけ。
迷いが残っているなら、それは送る前に片づけておく問題。

会って話したい、電話したいと言われたら

別れを送ったあと、顔を見て話したい、と返ってくることは珍しくない。
応じるかどうかは、自分の安全と、気持ちの余力で決めていい。
応じるなら、時間と場所を先に決めておく。
電話なら三十分、会うなら人の目がある明るい店で一時間まで。
夜の部屋や車の中は、話が長引くうえに逃げにくい。
私の場合は、翌日の昼休みの電話だけ。
彼は最後まで、もう一回だけ、とは言わなかった。

返事が来ない、既読もつかないとき

既読がつかないまま、一日、二日。
届いてる?と打ちたくなっても、追いかけない。
返事がないのも、相手の答えのひとつ。
別れは、既読のあるなしで取り消されるものではない。
一週間たって荷物の話が必要なら、そのときに事務連絡だけを送る。
意外と、その事務連絡をきっかけに、短い返事が届くこともある。

責める言葉や怖い言葉が届いたら

長文の非難、深夜の連続メッセージ、今から会いに行く、の一文。
こういう返事には、言い返さない。
説得もしない。
やり取りは消さずに保存して、身近な誰かに見せておく。
危ないと感じたら、ためらわずに警察へ相談を。
ブロックは、そのための手段として迷わず使う。

別れたあとのLINEの片づけと、送った夜の過ごし方

別れのLINEのあとには、地味な後片づけが残る。

荷物や合鍵を返すときの一通

別れを伝えた夜に、荷物の話まで詰め込まない。
私が荷物の連絡をしたのは、電話から四日後。

〇〇の冬物のコートと本、土曜に送ります。送料はこちら持ちで。
合鍵は、郵便で返してもらえると助かります。

返事は、その日のうちに来た。

ありがとう。福岡じゃコートの出番、あんまりないけど笑
荷物の話があの夜に一緒だったら、たぶん受け止めきれなかった。

段ボールのふたにガムテープを勢いよく引いたら、前髪の先まで一緒に巻き込んだ(泣)

ブロックとトーク削除は、貸し借りを片づけてから

送ってすぐブロックすると、荷物もお金も行き場をなくす。
トークを消す前に、一度だけ上までさかのぼる。
貸したまま、借りたままのものが、あちこちに埋もれているから。
立て替えたままの旅行代、二人で入っていた動画配信の契約、預けっぱなしの本。
全部が片づいたら、ブロックするかどうかは、そのときの自分で決める。
私は、ブロックも削除もせず、通知だけを切った。
伝えた側の即ブロックは、相手の最後のひと言まで取り上げてしまう。

送信した夜は、読み返すより先にお湯を沸かす

送ったあと、自分の文面を何十回も読み返したくなる。
相手のSNSをのぞいて、変化を探す指も止まらない。
どちらも、決めたはずの気持ちを、夜ごと揺らすだけ。
意味ありげな投稿も、この夜はしない。
彼との最初のやり取りが落ち着いたあと、私はやかんに水を入れて火にかけた。
スマホは充電器につないで、隣の部屋へ。
やかんがシュンシュン鳴りだして、ようやく肩が耳から離れていく。
淹れたのは、彼が置いていったほうじ茶のティーバッグ。
最後の一袋は、あとで送る荷物には入れず、湯気ごと飲みきった。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次